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「人を大切にする採用」がAIでさらに進化 サントリーホールディングスが実践した“原石発掘”のためのAI面接活用

サントリーホールディングス株式会社

サントリーホールディングス株式会社

業種

酒類、飲料、健康食品、海外での飲料・食品ビジネス

課題

人事領域における業務の高度化

インタビューにご協力いただいた方

水澤裕人様サントリーホールディングス株式会社 人財戦略本部 人財戦略部 採用担当 課長
小山直之様サントリーホールディングス株式会社 デジタル&AI本部 デジタル&AIテクノロジー部 課長

※所属は取材時点の情報。

導入の第一歩は「期待値の明確化」から

AI面接の検討を始めたきっかけと、当初の社内の反応を教えてください。

小山様

経営トップから、「AI技術の進展を受けて、様々な業務領域に適用していくべきではないか」という話があり、私が所属していたデジタル推進部門で、プロジェクトを立ち上げることになりました。効率化の観点もありましたが、業務の高度化や抜本的な変革、新しい価値創出への期待が大きい状況でした。
あわせて一昨年ごろから、優秀な人財の獲得という観点から「これまでの採用プロセスのままでよいのか」という課題意識が高まっていました。学生側もAIを活用して就職活動を行う時代になりましたし、海外からのエントリーも増えています。
その一方、サントリーは「人を大切にする企業」です。特に人事領域は人手をかけて対応するスタイルが根付いています。人事の皆さんが丁寧に採用活動を行っていることは知っていましたので、AI導入は慎重に進める必要があると感じていました。

水澤様

学生の皆さま一人ひとりと向き合うこと、接点をできるだけ多く持つことを大切にしています。対面でじっくり向き合う採用スタイルにこだわりを持っていたので、AI面接の話を聞いたときは「サントリーらしくないのではないか」という心配もありました。

そうした中、議論が前に進んだ転機はどこにあったのでしょうか。

水澤様

一つは学生側の反応を実際に調べたことです。一般の就活生にWebアンケートを実施し、AI面接に対してどう思うかを聞きました。ネガティブな意見が大多数だろうと思っていたら、好意的な意見と否定的な意見がほぼ半々でした。「面接官との相性に左右されず、AIのほうが公平に評価してくれる」という声もあり、これは想定外でした。
この結果を受けて、「使い方次第ではサントリーが大事にする“人を大切にする”ことと両立でき、学生の皆さまに新しい機会を提供できるかもしれない」という感覚が生まれてきました。

小山様

もう一つは、AI面接の導入目的を「原石を見つけること」と定めたことです。初期選考ではエントリーシートや履歴書を用いてきましたが、ここにAI面接を加えることで、書類では見えにくい個性や魅力を捉えられるのではないか。AI面接への期待が明確になったことで、人事部門の空気も「本格的に検討しよう」と変わりました。

小山様

導入スコープを決める議論には数ヵ月を要しましたが、この時間をかけて経営層・人事部門・デジタル部門のメンバーが、採用活動で大切にしたいことやAI面接導入後の未来像をすり合わせておいたことが、後から振り返ると重要でした。
また、検討開始当初は、デジタル部門の採用や経験者採用に限定して導入するアイデアもありました。しかし導入効果をできるだけ早く実感できるよう、対象人数が最も多い「新卒ビジネス部門オープン通常選考」に導入することになりました。

面接官の目利き力をいかにAIに移植するか

今回、「サントリーらしさ」を反映するためにAI面接のカスタマイズを実施されました。準備期間に最も苦労したのは、どの部分でしたか。

小山様

最大の難所は、評価指標の整備でした。役員や人事、募集部門などが、それぞれの視点を活かして学生の皆さまに向き合い、総合的に評価する。そうした弊社の採用プロセスに、AIをどう適用していくかに苦心しました。
弊社の面接のあり方をPFNさんに相談したところ、まず「AI面接で見たい観点」と「人による面接で見たい観点」を仕分けることを提案いただきました。そのうえで、AI面接で見たい観点のなかでもデフォルトの指標では測れないものについて、追加開発をいただくことになりました。

評価指標の開発はどのように進みましたか。

水澤様

精度の検証を繰り返し行いました。社内の若手社員に受検してもらい、人による評価との照合をするアノテーション作業を3回実施。さらにインターンシップ生にも受検してもらいながら、半年以上かけてチューニングしていきました。

アバターから対話の「間」まで、面接体験も細かく調整

そのほか、どのような点でカスタマイズを実施されたのでしょうか。

小山様

面接の受検体験についてもカスタマイズしました。なかでも、会社の顔になる面接官役のアバターにはこだわりました。AIで複数のビジュアル案を作って社内投票を実施するなど、「サントリーらしさ」を形にするために、かなりの手間をかけています。
対話のあり方も細かくチューニングいただきました。初期バージョンでは発話が終わると即座に次の質問へ移るスタイルでしたが、面接官による面接では、「あなたの話をきちんと理解しました」と示すリアクションを取った上で、次の質問に進むのが自然です。どんなリアクションが返されると気持ちよく会話が続けられるのかを検討し、最終的には、面接官が受検者の発話内容を適切に要約したうえで、次の質問へと進むスタイルに落ち着きました。
他にも、返しの「間」の長さ、深掘りのタイミング、会話を切り上げるタイミングまで、PFNさんと何度も調整を重ねました。

水澤様

実際の面接に使用する段階ではこれらの点が改善されており、コミュニケーションもスムーズでした。ここまで持ってこられたのは、PFNさんが私たちの細かいフィードバックに丁寧に応えてくれたからだと思っています。

小山様

我々が納得するレベルまで改善を重ねていただき、エンジニア集団ならではの強みを発揮されていると感じました。
また、プロジェクト担当者のファシリテーション力も印象的でした。「これはトレードオフなので、どちらかを決めないといけませんよ」「こちらを取るとこちらがうまくいかなくなるので、どうされますか」と、議論と意思決定をうまく引っ張っていただきました。

AI面接が可視化した「書類選考では見えなかった人財」

本番運用において印象的だった出来事を教えてください。

水澤様

今回は数千人の学生さんにAI面接を受検いただきました。その結果、書類選考の評価とAI面接の評価は決してきれいに相関しないことが分かりました。書類の出来と面接での印象が必ずしも一致しないことは経験上わかっていましたが、データで見ると改めて驚きがありました。
運用面でトラブルなく終えられたことも、率直に言って安心しました。失敗が許されない場面でしたので、電波の弱い環境では受検できないといった問題など、事前に洗い出した課題は、PFNさんに解消していただいていました。また、受検者が特定の時間帯に集中しないよう工夫したことも、功を奏しました。

小山様

AI面接が人の業務を単純に置き換えるのではなく、人では見きれなかった部分を補う存在として機能してほしいという、今回のプロジェクトでの期待がある程度達成できていると感じました。

今後はどのような活動を想定していますか。

水澤様

今期の受検結果を分析し、さらなる改善を進めていきたいです。たとえば、評価指標を調整することで、面接結果の評価をもう少し大きく分散させるなど、採用活動でより役に立つあり方を模索したいです。

小山様

将来的には、今回蓄積した受検データと入社後の活躍データを紐づけて、採用プロセス全体を改善していくことも視野に入れていきたいと考えています。たとえば、採用した学生の皆さまがその後どう成長したかを、これまで以上にしっかりとデータで振り返る仕組みが確立できるはずです。タレスカAI面接には、タレントマネジメントの起点としての役割も期待しています。

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